ずっしゃあああああ。

凄まじい勢いで転がっていく不良その一。

あたしはそのまま見事に着地、埃を払う。
そんなあたしを見て、突然の事態についていけず動揺する不良たち。

それはあのイケメンも例外ではないらしく、呆然とした顔であたしを見つめていた。

しかし怒り沸騰しているあたしにはそんなこと気にも止まらない。
ばったばったとなぎ倒していく、その後には屍の山。

須佐まじい勢いでさつきを放ってるあたしに完全にビビったのか、
最後の一人が慌てふためいて逃げ出そうとしているのが眼に入った。
あたしは眼を光らせた。

「逃がすかボケェ!」

しかし、あたしの渾身の一撃は、寸前でしゃがみこんだ不良をすり抜けられ。

勢いを止められなかった回し蹴りは、あろうことかイケメンの顔にヒットした。


「あ」

崩れ落ちるイケメン。鼻血のオプション付き。そして脱兎のごとく逃げ去る不良。
完全に挙動が停止したあたし、そしてギャラリー。

「すっ……」

固まったあたしの両脇を青ざめた沙雪と翔君が担ぎあげた。

「すみませんでしたああああ」

あれほどの俊足な二人を、今までであたしは見たことがない。