もしかして……気づいてない?

と、なれば。
あたしは急いで資料をまとめ、沙雪の腕を引っ張った。

「ありがとうございました! ではっ」

ごめんなさいいい! 放課後必ず行きますからああ!

あたしは猛ダッシュで脇目もふらず廊下を駆け抜けた。


その時のあたしはあまりにテンパっていて、気づかなかった。

「何あの子……?」
「さあ……」
「会長、どうかしたんですか?」
「いや、なんでもないよ」

そういって綺麗に笑った会長が。


「ふうん……なるほどね」


などと意味深に呟いたのを知る由もなく。

あたしの高校生活は幕を開けたのだった。