「次オリエンテーリングだってさ。いこ」
「あ、もうそんな時間か」

あたしと沙雪は立ち上がり、資料を片手に教室をでた。
……っと、何これ?

「凄まじいわね……」

沙雪の呟きに、あたしは心から同意した。

さっきは遠巻きに見てたから、あんまり気にならなかったけど。
先生と話し終わった生徒会長は、今度は女生徒に囲まれていた。

きゃあきゃあと桃色のオーラを放つ集団。
その中央で困ったように微笑む彼。

ごめん率直な感想なんだけど……邪魔だ。すごく。

「あの、すみません。どいてもらえますか」

聞こえんのか聞こえてないのか、フルシカト。
仕方なく、もう一度大きく話しかけた。
しかしあたしの声はやかましいかしまし声にかき消されていった。

……ダメだこりゃ。無理やり通るしかないな。

あたしは無理やり間に片足を突っ込んだ。
が、すぐさま女子の荒波に揉まれたあたしは、どうにか逃れようと抵抗を試みるも、さらに絡まる絡まる。

女子軍団、恐るべし。

たまたま一歩下がった女子の繰り出されたエルボーに、あたしの資料が床に舞った。