ああああ、どうしよう。

教室に戻ったあたしは、頭を抱えていた。
目の前で呆れたようにこちらを見ている沙雪。

「馬鹿ねー、やっちゃったもんはもうしょうがないでしょ。あとは、目立たないようにひっそり暮らすしかないわよ」
「だよねえ……ああ、あたしのバカ」
「まあほら、生徒会長なんて学年違うし、関わり合いもないと思うわよ。しっかし……」

ぶふっと噴き出した沙雪に、あたしは怪訝な目を向けた。
なによ、何がそんなにおかしいのよう。

「あの端正な顔に、見事に決まったわよね、回し蹴り……くっくっく」

なんだか急に恥ずかしくなって、あたしは口を尖らせた。

「し、仕方ないじゃない。あそこでよけられると思ってなかったんだし」
「あの人のファンに見られてなくてよかったじゃん。あの人なんか、すごい人気らしいよ?」

え。そ、そうなの?
思わず固まるあたし。

「うん、さっきクラスの子が話してるの聞いたんだけど、噂ではファンクラブあるとかなんとか……」
「……そんなの漫画の中の話だけかと思ってたよ」
「もし、ファンに知れたら恨み買うだろうねえ」

沙雪の一言がグサッとささる。