三つ子の魂百までっていうじゃない?
物心ついた時から、あたしには空手の神童とまで呼ばれた三個上の兄ちゃんと、格闘馬鹿の父ちゃんに囲まれて育ってきた。
母ちゃんはいない。あたしを生んだ時に死んだんだって。
でもあたしには父ちゃんも兄ちゃんもいるし、寂しくなんてなかった。
唯一、問題があるとすれば――ほうら、来たわね。
「椿! 今日から高校だろうが! 遅刻するぞ!!」
けたたましい怒鳴り声とともに、あたしの体が宙を浮く。
ええい、毎朝毎朝ーっ!
寝ぼけ眼を凝らしながら、あたしは反射的に父ちゃんの頭にかかと落としをくらわす。
「喧しいくそ親父! 朝っぱらから実の娘にジャーマンエクスプレスかますなんて何考えてんだ!!」
見事に決まったかかと落としを受けた父ちゃんは一瞬白目をむきかけたが、
そこは普段から強靭な肉体を自負してるだけある。
どうにか踏みとどまったようだ。
そのまま寝ててくれていいのに。
物心ついた時から、あたしには空手の神童とまで呼ばれた三個上の兄ちゃんと、格闘馬鹿の父ちゃんに囲まれて育ってきた。
母ちゃんはいない。あたしを生んだ時に死んだんだって。
でもあたしには父ちゃんも兄ちゃんもいるし、寂しくなんてなかった。
唯一、問題があるとすれば――ほうら、来たわね。
「椿! 今日から高校だろうが! 遅刻するぞ!!」
けたたましい怒鳴り声とともに、あたしの体が宙を浮く。
ええい、毎朝毎朝ーっ!
寝ぼけ眼を凝らしながら、あたしは反射的に父ちゃんの頭にかかと落としをくらわす。
「喧しいくそ親父! 朝っぱらから実の娘にジャーマンエクスプレスかますなんて何考えてんだ!!」
見事に決まったかかと落としを受けた父ちゃんは一瞬白目をむきかけたが、
そこは普段から強靭な肉体を自負してるだけある。
どうにか踏みとどまったようだ。
そのまま寝ててくれていいのに。