制服に着替えるイノリを少し恨めしそうに睨んでから、一緒に外に出た。


車庫から引っ張り出したイノリの自転車の荷台に座る。



チャリが漕げないワケでも、持っていないワケでもないけど


私は中学生の時からイノリとニケツして通学しているのだ。



「お前、ちょっとは痩せろよ!毎日子豚とニケツしてる俺の身にもなれ!!」


「どうしてイノリはそう一言多いの!?ムカつくからもっと太ってやる!!」


「パンクするからやめろ」



どうせ私はチビだしデブですよーだ!


カンナがスタイルいいから、見た目より太って見えるしね。




「………じゃあキヨ、俺の後ろに乗りなよ」

「いいの?」

「………うん。俺、サッカー部だから」



うん?

だから何なんだろう…と思いながら、カゼの自転車に乗った。



「カゼは優しいね。誰かさんと違って」

「………キヨを重いと思うなんて誰かさんは相当ヘタレなんだね」

「誰かさん言うな!それにヘタレはケンだろ!!」

「何でだよ!」



何故か被害を受けるケン。

それもいじられキャラの宿命。





「とにかく、キヨは俺のチャリに乗れ!カゼに迷惑掛けんな」


「誰かさんと違って優しいからカゼがいい」


「…少し重たくねぇとチャリ漕ぎづれぇんだよ。つべこべ言わずに早く乗れ」



もー…ワガママ野郎だなぁ。


と、呆れたフリをしたけれど本当は嬉しかった。





「………もっと素直に言えばいいのに」

「キヨが他の男とニケツするの嫌なんだってね」


「カゼとカンナ、ぶっ殺す!!」




騒ぎながら私達は高校へと向かった。