「………キヨはイノリの通い妻だね」



カゼがボソッと呟くと、イノリがあからさまに嫌そうな顔をした。



「俺は理想が高いんだ!キヨが嫁なんてぜってぇ嫌だ」

「失礼ねっ!あいにく私も理想が高いんですー!イノリみたいな平凡庶民のとこなんかに誰が嫁ぐか!!」



セットしてあげたイノリの髪をグチャグチャに掻き回した。




酷いよ!
失礼だよ!

無神経過ぎるよ!!



いつもそうなんだ。

イノリは恋愛話になると私を突き放す。




「………イノリの妻はキヨにしか不可能だと思うけど」

「そうね。イノリみたいな俺様男、キヨにしか世話出来ないわ」



カゼとカンナは笑いながら、ケンを連れてイノリの部屋から出て行った。





本当にその通りだよ。


イノリの嫌なとこやダサいとこを全て知った上で、お嫁さんになりたいなんて思う女の子は、絶対私くらいだよ。



それを当の本人は分かってないんだもんなぁ…