もう結婚してるけど、私には3つ年上のお姉ちゃんがいる。


そのお姉ちゃんがあまりに出来た子だったから

出来損ないの私にガッカリしてるんだろうな。




「なーに親子喧嘩してんだよ」


プンスカしながら自室に入ると、ベッドに座って漫画を読んでいる男がいた。



「なんでイノリがここにいるの」

「いちゃ悪いか」



不法侵入は犯罪だよ?



まぁ私達の間にプライバシーも何もないんだけどね。




「にしても少女漫画っつーのはくだらねぇな。キヨが夢見がちになるワケだよ」


「夢見がちで悪かったわね」



女の子は妄想が好きな生き物なんだよ。



それにいいじゃん、別に。


妄想して誰かに迷惑掛けてるワケじゃないし。




「こんな完璧な男なんてぜってぇ存在しねぇし、奇跡なんてこの世にはねぇんだよ。アホくせぇ」



イノリはポイッと漫画を投げ捨てるとベッドに寝転がった。




「…私達が幼なじみに生まれて来れたのは奇跡じゃないの?」

「知らねー」



知らねーって。



星の数ほど人がいる中で、5人の幼なじみで生まれてこれた事は


何にも代え難い奇跡なんじゃないのかな?




それとも、ただの偶然?