「イノリ、ここ学校だよ?」

「いいよ。俺、お前以外の女に興味ねぇし」



…そういう思わせぶりな事、言わないで欲しい。


本心じゃないクセに。




「女って本当面倒くせぇ。自分の願望を好き勝手ぶつけてくるし、変に打たれ強いし。マジうぜぇ。ケンくらいうぜぇ」



それはケンに失礼なんじゃ…。




イノリは後ろにいる女の子にワザと言ってるかのように大声で呟いた。




「イノリだって十分面倒くさい男だけどね」

「はぁ!?どこが!?」



え…色々と?




「とっとと帰るぞ」



私はイノリに引きずられるようにして、駐輪場へ向かった。




うぅっ…

あの子、ずっと睨んでるよ〜


女って恐っ!



私も女だけれども。





「ねぇ、部室で何話してたの?てか、あの子誰?」

「マネージャーだよ。今度の休みに映画観に行こうってうっさかったんだよ」



イノリは本当にウンザリという表情をする。




「何で好きでもねぇ女の為にこの俺が金と動力を使わなきゃなんねぇんだよ。しかも休日に」



あの子

こんな失礼で無神経で、思いやりのない俺様男の何がいいんだろ。



…私もか。




まぁ、黙ってれば見てくれはいいもんな。


癖っ毛だけど!
つり目だけど!!
愛想悪いけど!!!




でも私はちゃーんと

イノリの良い所いっぱい知ってるもんね。




あの子にも他の子にも悪いけど

イノリを想う気持ちは絶対誰にも負けないよ。



負ける気もしない。