「いたいた!何で置いてけぼりするんだよ〜」


手を振りながら駆け寄ってきたケンは、カゼの隣りにドスンと腰を下ろす。



「………ワイロ」

「それを言うならオワビだろ。てか何このチョコ!」



カゼから一万円柄のチョコを貰ったケンはそのチョコを食べ始めた。





「倉木くーん!」



5人で並んで座ってると、何処からかカゼを呼ぶ黄色声が聞こえてきた。





幼なじみじゃなかったら、私もあんな甘い声で名前を呼べるのだろうか。



でも幼なじみじゃなかったら

イノリを好きにならなかったかもしれない。




外見を好きになったワケじゃないし、幼なじみじゃなきゃ気合わないしね。





だけど…



こんなにそばにいるのに
いつも隣りにいるのに

いつだって触れられるのに…




私達の“心”の距離は

遙か、遠い。