うえーん
うえーん
「泣くなよ」
だって、だってぇ〜
「俺がずっとキヨといてやるから大丈夫だよ」
おでこにぬくもりを感じたと思ったら
目の前にイノリの服の襟があった。
おでこにキスは、イノリの魔法。
私を泣き止ます為の優しいおまじない。
彼が繋いでくれる手が
魔法を掛けてくれる唇が
迷子になったら見つけてくれる目が
おんぶしてくれる背中が
イノリという存在が
ずっとずっと大好きだった。
その全てが必要だったし
彼がいてくれれば生きていけるとも思った。
だけど
この気持ちはきっと
死ぬまで伝える事は出来ない。
…伝えてはいけない。