ずっとずっと、一緒に良すぎたのかもしれない。
気づかなければ良かったのかもしれない。
でも、もう遅いよ。


*―――恋は盲目―――*
L O V E I S B L I N D



中条杏、17歳。

只今、乙女の窮地に立たされています。

「……ん……」

白地のカーテンの隙間から差し込む燦々と降り注ぐ日の光が眩しい。

身じろぐ度に、抱きすくめられた手が私の上で蠢く。
私の下では薄茶の髪から覗く薄い瞼がしっかり閉じられ、開くことはない。

私ははあ、とため息をつく。気乗りはしないけど、このままでもだめだし。

私は大きく息を吸った。

「七瀬、起きて!」

耳元で大きく叫ぶと、閉じられていた瞼がゆるゆると開かれた。
けれどもその眉間には深く皺が刻まれる。
綺麗な顔が台無しだよ、七瀬……。

「……何だ、杏か」
「七瀬、おはよ! 起きる時間!」
「……あと五分」
「だーめー」

ここで頷くと、絶対あと30分は起きてこないことを知ってる私。

意地でも起こさないといけない。


……本音を言えばもうちょっと寝顔を見てたかったんだけど。