次に目が覚めた時
あたしはベッドに横たわっていた。


「…あたし、」


状況を理解出来ず、目だけを動かしてキョロキョロと辺りを見渡すと、お母さんが涙目で飛び付いてきた。


「あぁ、聖華目が覚めたのね!」


その後ろで立ちすくんでいたお父さんは、安堵した表情で笑っていて。

そしてあたしは思い出した。



…そうだ、あの時。




「お母さんっ!灯吾…、灯吾は!?」



夢だと言って欲しかった。

これは、全て嘘だと。


それだけで
多分あたしは救われたのに。




お母さんは縋り付くあたしから視線を逸らし、言いにくそうに口を開いた。



「…灯吾くんは……、」




―――重体。


その意味を理解するのに、とても時間がかかった。


だってあたしたちはついさっきまで“幸せ”の真っ只中にいて。

一緒に事故に遭ったあたしは、打撲程度のケガで済んだのだ。



だから彼も
灯吾も、きっと大丈夫。

きっと、大したことなんてない。


そう、信じてた。