学校は既に人気がなかった。
といっても部活はまだいくつか行われている。
春の大会に向けて皆気合が入っているのだろう。
だから校舎内は静かで。
嶌田に少し待っていてもらい、私は玄関を抜ける。
いるとしたら生徒会室だろうか、と取り敢えず足を進めてみた。
「あれ……会長」
「佐野さん?」
向こうから誰かがこちらに向かってくることは気づいていたが、それが佐野さんだと認識したのは顔がはっきり見える距離になってからだった。
少し驚いた顔をしながらも、佐野さんは一度振り返ってから私に笑顔を向ける。
「副会長なら、生徒会室です」
どうして、私が彼を探しているとわかったのだろう。
いや、それ以前に今日は仕事があったのに私は無責任にも全てを放棄したのだ。
他に言うことがあったのではないだろうか。
「今朝の集会なら大丈夫です。副会長が変わりに挨拶に立ちましたし」
彼女は珍しくよく口を開いた。
いつもは大概無言で仕事をこなしている。
「そう。ありがとう。申し訳ないわ」
「お礼なら、副会長にお願いします」
それだけ残して、彼女は頭を下げてから私の横を通り過ぎて行った。
どうしたのだろう。
でも考えてみれば斑鳩と何か話をしているのかもしれない。
彼女の背中を暫く見送ってから、私は生徒会室のドアの前に立った。
といっても部活はまだいくつか行われている。
春の大会に向けて皆気合が入っているのだろう。
だから校舎内は静かで。
嶌田に少し待っていてもらい、私は玄関を抜ける。
いるとしたら生徒会室だろうか、と取り敢えず足を進めてみた。
「あれ……会長」
「佐野さん?」
向こうから誰かがこちらに向かってくることは気づいていたが、それが佐野さんだと認識したのは顔がはっきり見える距離になってからだった。
少し驚いた顔をしながらも、佐野さんは一度振り返ってから私に笑顔を向ける。
「副会長なら、生徒会室です」
どうして、私が彼を探しているとわかったのだろう。
いや、それ以前に今日は仕事があったのに私は無責任にも全てを放棄したのだ。
他に言うことがあったのではないだろうか。
「今朝の集会なら大丈夫です。副会長が変わりに挨拶に立ちましたし」
彼女は珍しくよく口を開いた。
いつもは大概無言で仕事をこなしている。
「そう。ありがとう。申し訳ないわ」
「お礼なら、副会長にお願いします」
それだけ残して、彼女は頭を下げてから私の横を通り過ぎて行った。
どうしたのだろう。
でも考えてみれば斑鳩と何か話をしているのかもしれない。
彼女の背中を暫く見送ってから、私は生徒会室のドアの前に立った。