驚いて固まっている私に、彼は


「じゃぁさ・・・次、俺のために泣いてみせてよ。」


 ・・・何が起きたのか理解できたのは10秒くらい経ってからで。


「はっ?え?うそ?」


 と、こんな間抜けな返事しかできなかった。


「うそじゃないし。」

「え、何目的!?」

「・・・アンタに何か求めてどうすんだよ。」

「そっか・・・。」

「・・・うん。」



 ・・・また間があく。



「・・・私、もう泣きたくないから。」

「は?」

「初めから泣かすつもりならお断り。」