「・・・はい。落ち着きましたか。」


 話したいことは全て吐き出し、ようやく涙も出なくなった時に彼が自販機で飲み物を買ってきた。


 受け取ったとたんに、手にひやりと冷たさを感じる。


「ってこれサイダーじゃん!」

「?そうだけど。」

「フツーこんな秋の夜にサイダーなんて渡すか?しかも女子に!」

「だって、ココアとかいう柄じゃないじゃん、アンタ。」

「とか言って自分ココア買ってるし!」

「っせーな!好きなんだよココア!」

「てかこの自販機、冷たいのサイダーだけじゃん!コーンスープとかあんじゃん!」

「あーもう分かったよ、ほら!」


 そう言って私の方にココアを差し出してくる。


「・・・くれんの?」

「お前がしつこいからだろ。つってもそれ飲みかけだけど。」

「うぅん・・・ありがと。」


 コクリ、と一口ココアを飲む。