「そうか…
亜美も柘気が好きだったからな…」





ワックスでいじってある髪をぐちゃぐちゃにして自分の顔が見えないようにしている十夜。





「アイツは…俺が嫌いなんだよ…
そうだよな?日斗出…」





十夜は日斗出の方を見ないで呟くようにそう言った。




日斗出の方を見ると
俺たちから目をそらして何も話さない。





俺たちは何も話さなくなった。
短い沈黙だったと思う。だけど俺にはとても長く重たい沈黙だった。