「頼兎君、元気だった?」


「あ、……はい。…………あ、あの」


挙動不審。

今の頼兎にピッタリな言葉は正しくコレ。

零一は簡単にプロテクタの説明をしてやり、頼兎を『内側』に引っ張りこむ。


「ナギサ、何が目的?頼兎はここに必要ない。」


『………あるよ、魅稀。』


「ないね。コレはボク達だけの問題だ」


『そう。でもね、魅稀。彼も《関係者》だ』


容量を得ないナギサの『声』が頭の中に響く。


「頼兎、」


「魅……稀」



何処まで何を知っている?



聞きたいのに何故か聞けなくて、出かけた問い掛けは喉元で止まった。

……全く。

笑っちゃうほどボクらしくない。

言いたいことは言う。

やりたいことはする。

これがボクだったはずなのに。

風に煽られた解きっぱなしの髪が靡く。

静かな時間に、ボクは内心ため息をついて


「何で此処に来たの?」


頼兎に静かに質問する。

此処は秘密の場所。

簡単に入れる場所じゃないはずだ。

なのに、頼兎が入ってきた。

ナギサの行動の意味の分からなさに腹が立つ。

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