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昔の写真を懐にしまってボクは、唇を噛んだ。

戻れるものならば戻りたい。

幸せだったあの日々に。


「ちょっと、魅稀、そろそろ説明しなさいよぉー」


「黙れオカマ。ボクはいま忙しい。」


「嘘をつくな嘘を。」


可愛らしく頬を膨らませる零一にボクはケッと毒づいた。


「ドア閉まっちゃったけど、どうするの?桃亜さんは?」


「どうもしないよ。桃亜姉はこのままここにいるんだから。」


「?どうしてよ」


『来るよ』


零一の質問を無視してボクはふと顔を上げた。

頭の中に響いたナギサの声に「誰が?」と問い掛けてみるが答えはない。

感覚を研ぎ澄ませてみると確かに結界を越えて入ってくる存在がある。


「ナギサ?」


ここに入れるのはボクと桃亜姉もしくは、ボクか桃亜姉が許した者のみ。

なのにそれ以外の者が入ってきてる。

警戒するボクにナギサは大丈夫と答えたまま沈黙を貫く。


「あら?」


人影に気づいた零一も怪訝そうに声を上げた。


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