しばらくドアの前で無言で立ち尽くしていた。



ヴェネットは私に背を向けていてなんとなく胸がチクリと痛んだけれど、私は思い切って彼の大きな背中に声をかけた。



「ヴェネット、その…体調はどう…ですか?」

「ええ…」



それだけ…?そう思ってしまうようなヴェネットの返事…



「明日は…がんばってちょうだいね?」



あなたは明日…どちらの結果を頭に描いているの?



もちろんヴェネットの性格と立場を考えれば自然とどのような結果になるのかはわかっている。



わかっているけれど…



私はじっとヴェネットの背中を見つめていた。



「姫…」



そう小さく呟いたヴェネットは、ゆっくりとその体を反転させてこちらを向いた…