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ぼんやりと月を眺めながら、私は自分が生まれてからの事を考えていた…



何不自由なく育てられ、ここまでやってきた。



そして…私はあの人に恋をした…



「セルジュ様…」



私に、生まれて初めての事をたくさん教えてくれた。



考えるだけでドキドキして、一緒にいると楽しくて仕方がなかった。



これが恋なんだって…初めて感じた…



そんなセルジュ様との婚約がダメになって戻ってきた時、悲しみに打ちひしがれていた私を支えてくれたのは…



優しい…大きな手…



昔から…いちばん近くにいてくれたのに、気付けなかった…



太陽みたいに私を照らしていてくれたあなたが、当たり前みたいに思えてしまっていたのね…