「お~い、遠征部隊が帰ってきたぞ~」


 そこまで話したところで、山の下から大声が聞こえた。


 あの声は、サスケだろう。


 相変わらず、声の大きさだけは自慢だな。


 国のどこにいても聞こえるどころか、こんな山の上まで聞こえてくるとか、尋常ではないぞ。


「遠征部隊か!ここからでも見えるか?」


 金時は山から下の方を見下ろす。


 その顔は興味心身だが・・・。


「やめておけ、見てもいいものではない。」


 タケルはいやな予感がヒシヒシと伝わり、金時をなだめた。


「どうしてだ?お前の父が誇る最強の軍勢だろう?戦では負けなし、落とした国は数知れず。今回もどのような手柄があったのか、気にならないのか?」


 お前は気楽でいいな。


 今回の遠征の相手が『人の治める国』だったら、俺もさぞかし心躍りながら覗いただろうよ。


「だったら、見てみろ。」


「言われなくてもそうする。」


 タケルの返事を聞く前に山の下に目をやる金時。


 ここからだと、国の入り口に当たる関所が見え、そこに道すがら帰る軍勢が見えるのだ。


 敵国から言わせれば、ここほど相手の国を見張るにいい場所はないように見えるが、残念ながら、この山には金時がいる。


 そう簡単にいかないようにできているのだ。


「・・・・・・あぁ、まぁそういうコトもあるな。いつまでも無敗というわけには行くまい。」


 その言葉だけで、お前が何を見たのか、よく分かるよ。