冷血がーるの恋物語。






『莉空ちゃん!明日実の誕生会絶対来てね!』





家族ぐるみで昔から仲が良かったあたしの家と、実の家。




実の家族の誕生日は自分たちの家族の誕生日。




誕生日の日はどちらかの家に集まって、好きなようにはしゃいでいた。




今回はあたしたちの家族が実の家に行って誕生会をするはずだったのに。













『事故だ!事故!』



『救急車呼んでこい!』




気付いたときにはこのありさま。



あたしはお母さんに抱き抱えられてて、周りの様子は見れなかったけど。




子供ながらに状況は理解できていた。



結果、あたしの両親は死んだ。




あとで詳しく聞いたには、相手の車にも子供とその両親が乗っていて、同じように子供だけが助かった。




らしい。











そういえば、事故のあと保護されたときに、お互いずっと、睨んでた記憶がある。




それから周りの目が一気に変わり。




あたしは人と関わらないように、暮らしてきた。




だって…




皆の視線は、好奇なものか同情でしかなかったから。










「お前何で。こんなとこいんの?」




「…え、何?」



やばいやばい。



こんなやつといるってのに意識とばしかけてた。





「北海道じゃん、住んでたの。」



「うん、だから?」



そんなことまで公表してるのか。



今のマスメディアは。




「何を忘れたくて、こんな離れたとこまできたんだよ?」












すべて分かっているのなら。




どうしてわざわざ思い出させようとしてくるの。



どうしてわざわざ遠回りしてくるの。




つくづく。本当に。



性格の悪い奴だって思わされる。




「うるさいなあ。関係なくない?」



この少し感情的になった言い方が、大河が望んでいた「確信」の答えになっていることに。




そして大河の顔を曇らせてしまったことに。




俯いていたあたしは気付かなかった。










そのとたん。




「両車の不注意で片付けられたこと、納得いってないだろ。」




「まあそんな簡単な感じに言われても、遺族にとってはもっとしっかり調査して欲しいってのもあるかもね。」





何か吹っ切れた様に、しかも他人事の様に話し続ける大河にさすがのあたしも、顔を上げた。











「馬鹿にしてんの?」




「恨んでる?その相手。っていうか、その家族。」




……誰だって、恨むものじゃないのかな。



残された遺族は関係ないとしても、人のせいにするほうが、絶対楽。






「…恨んでるよ。遺族も、1人だけ生き残った、自分のことも。」



「だろうね。」





小さく笑みを浮かべても、全然楽しくないこの雰囲気から。



いつ、解放されるんだろう。














「でもそれって、自分だけじゃないって分かってる?」






「向こうの遺族も、同じ気持ちかもしれないって、考えたことある?」








「ちょっと待って!…何が言いたいの?」



今一瞬、凄い嫌なこと、想像した。













「可哀想だよね。水谷サンは。」




これ以上。



言わないで…。





「人からの同情がいやで、ここまで来たのに。こんなとこで再会しちゃうなんて。」






確かに人からの同情であたしは変わったけど。




そんなこと、普通の人は考えられないじゃない。




これが意味するのは。





「…大野、大河…?」