冷血がーるの恋物語。






「これ言ったら、あの2人の結末は決まっちゃうでしょ?」




「…どういうこと?」




「これを言わなかったのは、俺なりの気遣いなんだよ。」






椎は言う。





このことを言ったら、大河と莉空は絶対に付き合うことになるけれど。










「本当のこと分かった上で、幸せになってほしいじゃん。」





「ただ単に、椎ちゃんが悔しいだけなんだ。」




「…当たり。」




やっぱり彼は、




綺麗に笑う。











二人と別れて走り始めたあたし。



逃げてきたあたしに、大河の居場所がわかるわけない。






…ちょっと待った。





あたしさっきキスしなかった?





自分から大河に、キスしなかった?






そんなの向こうからしたらあたしの気持ちは分かってて、あたしからしたら大河の考えは全然分かんないわけで。











そう思ったら走っていた足を緩めてしまった。





「……どうしよう。」






あんなことしちゃって、勘のいい大河が気付かないはずがない。






そうでなくてもあたしの気持ちに気付いて大河は先に行動したのかもしれないし。











今更、

会わせる顔なんて、ない。



何一人で焦ってたんだろう。






なんて思った時。





タイミングがすごく悪かったんだろう。






今さっきまで探していた大河が、居場所も分からなかった大河が、あたしの目の前にいて。












「大河のこと、好きなの。」






告白、されていた。





「…っ。」





突然のことで何も出来ず。




もちろん告白を見ることも出来ず、あたしは足音も関係なしにもときた道を走りだした。











花壇のちょっと前まで来て我にかえったときにはもう遅い。





大河はあの子の告白を受けて今頃楽しく帰っているかもしれない。






あたしがさっき告白してれば何か違ったかもしれない。












「…って、馬鹿じゃないの。」





「本当、馬鹿。」





後ろから聞こえてきた声に驚いて振り返ると、校舎の壁に体を預けて腕組みしている大河の姿。





「…なんで…?」





「あんな足音たてたら誰でも気にするっての。」



ああ。

すっかり忘れてた。











「なあ。そろそろ気付いて?」





何に?






「さっきの俺の名台詞、聞いてなかったか。」



聞いてるわけない。





「持ってるもん全部無くしても、守りたい奴がいる。」





それって、あたしの…こと?