「青い薔薇が欲しいの。」

普段、彼女からお願いしてきたことなんかなかった。




いつも僕の言うことを聞いて

いつも僕のそばで微笑んでくれていた。




だけど、無理だ。

赤い薔薇も白い薔薇も花屋に売っている。





だけど、青い薔薇は花屋には置いていない。

僕は一度だって見たことはないんだ。





「どうしてそんなことを言うんだい?」

「あなたは私を愛してはいないのですか?」





「世界の半分を彷徨っても見つからないんだろう?」

そう言うと、彼女は答えるんだ。






「まだ世界の半分が残っているわ。」






彼女は僕を試しているんだ。

彼女は僕の愛を試しているに違いない。





「君は僕を待っていてくれるかい?」

彼女は静かに答える。






「えぇ、待っているわ。」