雲ひとつない空。
広い原っぱに木陰を見つけて腰かける。
「お弁当を作ってきたの。」
彼女は照れ臭そうに言う。
「おいしいよ。」
僕は彼女に笑いかける。
今日は重大なことがある。
それは彼女の誕生日。
「聞いてほしいことがあるんだ。」
僕は緊張した面持ちでそう切り出す。
「何かしら?」
彼女は微笑みながらそう返す。
「僕と結婚してほしい。」
意を決して言った言葉。
「君のためなら、100本の薔薇を用意しよう。」
僕の世界では薔薇はとても高価な花。
誰もが憧れる花。
だけど彼女は静かに本を開くんだ。