最初、目を通した時は見間違いかと思った。
だからもう一度読み直して。
それでも文章は変わらなくて、三度目の正直とばかりに三度文字を読み直す。
そこでやっと、現実味が湧いてきた。
全部、終わったんだ。
華原君、頑張ったんだ。
そう思ったら嬉しくて、なのに同時に少し胸が痛んだ。
痛みの理由はいくつかある。
一花さんへの罪悪感がまずひとつ。
それから、華原君の努力と根気の裏にあったであろう大変さや、ただ待つ事しか出来なかった自分の不甲斐無さ。
これらの事からは逃げ出さず、ちゃんと向き合っていかなければならない事なんだと思う。
忘れてはならない事だから。
華原君に『大丈夫だよ。何時にどこに行けばいい?』と返し、再び受信したメールに記載された場所と時間を頭に入れると私は支度を始めた。