「伊東さんにも大事な人がいるでしょ?」 私はその質問に頷く事も出来ずに しばらく黙っていた。 「……わからない。今はまだ答えが出ないの。」 やっと出た答えは 悲しくも素直な風になる。 誰かに話すだけで、こんなに違うんだ。 「はい!」 先生が差し出したのは 澤田がくれたパンだった。