「崎野さん?」


一瞬、静かな空気が流れたが

崎野さんは驚いてふりかえった。


「今喋ったの伊東さんだよね?」

「私しかいないです。」

「だよね。初めて声ちゃんと聞いたから、びっくりしちゃったの。」

「すいません。」

「いいのいいの。何かよう?」

「あっ…いや…」


いきなり声をかけたもんだから

その先の会話は考えてなかった。

だから、何て返したらいいのか

よく分からなかった。

そして、いつものように単刀直入に言ってしまった。


「妹尾さんは今日はいないんですか?」