走って走って屋上への階段を

かけのぼろうとした時だった。

誰かに強く腕をつかまれた。


「いてぇよ!何すんだよ!」


強い口調と目で

つかんだ相手を睨み付けた。


「えっ……」


主任の澤田かと思ったが

つかんだ相手はあの子だった。

その目からは何故か涙がこぼれていた。



が、私は名前も聞かず

その手を振り払い屋上へ行った。



それが愛里と初めて至近距離で

出会った瞬間だった。


私たちの出会いは最悪だった。