体も温まり、洋服も乾いてきたようだ。

私とナホは砂から出してもらい、ようやく地上にゆっくりと腰を下ろした。

「さてと、これからどうするかだね。」

私はぼんやりと海を眺めながら言った。

「腹減ったな。」

はぁ?!

こんな非常識な言葉を発せられるのは、奴しかいない。

「ったく。こんな時によく腹減るよな。」

品のいいはず・・・な、テツヤくんが吐き捨てるように言った。

う。

ま。そこまできつく言わないにしても、私もほぼ同感。

「そ、そうだよ、ケント。それはないわ。今後のめどが立ってから食べる話しない?」

思わず、ケントに口をとがらせて言った。

「だけどさ。腹が減っては戦はできぬっていうじゃん。血糖値あげないと頭もまわんないって。」

なんか。

この島にたどり着いてからのケントは、緊張感なさすぎな内容なんだけど、

妙に説得力のある発言が目立つような・・・。

「っていったって、食う気全くしない俺はどうすればいいのかな?」

テツヤくんが皮肉っぽく言った。

そう、テツヤくんもこの島に来てから、妙にきつい性格っていうか品がなくなったような。

こういう状況って人をこんなにも変えるものなのかしらね??

「ま、とりあえず無理矢理でもいいから腹に何か入れた方がいいって。」

ケントはそう言いながら、持ってきたリュックの中から缶詰いくつかとドロップの缶を砂の上に置いた。