ふと、冷たい視線を感じた。

その方向は紛れもなく、ナホとテツヤ君のいる方向だった。

ちらっと二人を見やると、

笑ってる場合じゃないでしょって顔でナホがにらんでいた。

そりゃそうだ。

笑える状況じゃないもんね。

私もこの場にきて、ちょっと感覚がおかしくなってるのかもしれない。

「ナホ、大丈夫?」

気まずいながらもナホに声をかけた。

「今は、なんとか。」

ナホはか細い声で答えた。

「ごめんね。こんなことに巻き込んじゃって。」

ナホは小さくため息をついた。

「どうなっちゃうんだろね。私達。」

ナホはそう言いながらまた泣き始めた。

テツヤくんはうなだれながらも、そんなナホの頭を優しくなでていた。

ナホって、こんなにめそめそする人間だったっけ。

テツヤくんの存在がそんなナホにしてしまったんだろうか。

いやいや、こんな状況でそんな分析してる場合じゃないか。

私って、ケントさながらの楽観主義者だったりして?!