「それにしても、ここはどこなわけ?」

太陽の光を体中に浴びながら、まどろみそうになる自分を奮い起こしながら聞いた。

ケントは、海の方を見やった。

「俺の目指してた島・・・だといいんだけどな。」

「あー、漂流する前に言ってた?」

「うん。そこなら、大して陸から離れてないし、きっと見つけられやすいって思うんだ。」

「ふぅん。」

今どこにいるのかわからないっていうほど、心細いことはなかった。

昔、まだ私が小学生の頃。

友達のパパに車で海につれていってもらった。

友達とはしゃぎがなら砂浜を走っていたら、いつの間にか友達のパパとはぐれていた。

どこかわからない場所で、どう帰ればいいのか、どう親に連絡をとればいいのか、

全くわからない状態で、私達はずっと泣いた。

どうしようもなく心細くて。

そんな時、近くを通りかかった老夫婦が優しく声をかけてくれたっけ。

『よかったらうちに来なさい。そして電話でおうちに連絡しなさい』

その老夫婦がいい人なのかそうでない人なんか、そのときは全く関係なかった。

私達にはその老夫婦は紛れもなく神様のような存在だった。

そして、私達は、前者であったその老夫婦のおかげで事なきを得たことがあったんだ。

わらにもすがる思い・・・

誰でもいい。

どんなものでもいい。

これから先の自分を前向きに考えられる状況が欲しい。