どうしよう?

するとそこへ、ケントが泳いで行くのが見えた。

ケントは半分ぐったりしたナホの片腕を自分の首に巻き付け、ボートの方につれて泳いだ。

ボートにしがみついてる、私とテツヤくんに指示をして、ナホをどうにかボートの裏側に乗せることに成功。

さっきまでのケントへの怒りはどこかへ行ってしまった。

その代わりに、生きるか死ぬかの緊張感が張り詰める。

これからどうするの?

どうなっちゃうの??


ナホはひっくり返ったボートの上で、泣いていた。

「ごめん。ごめんよ、ナホちゃん。」

ケントの表情がこわばっていた。

さすがに事の重大さに不安を隠せないようだった。

テツヤくんも表情と顔色を失ったまま、ただ呆然とボートにしがみついてる。

「もう少し東に行けば島があるはずだったんだ。」

テツヤは小さな声でつぶやくように言った。

「東ってどっちよ!」

どこを見回しても海。

もう出発地点なんて見えなくなっていた。

何の目印もない中、東なんて言われたってわかるわけないじゃん!