ケントは一著前にしょうがないなー的な表情をしてみせた。

訳のわからないことを言ってるくせに、そんな態度って妙にむかつく。

「だってさ、よく考えてよ。水着で乗ってて、仮に、仮にだよ?転覆したら持参した洋服はもちろんずぶ濡れだよね。ってことは、結果は同じ。っていうか、これが逆だったら、水着に着替えて洋服乾かせばいいだけじゃん。最初から転覆すること前提で乗るのやめてくれる?」

・・・。

ケントが何を言いたかったのか、全くわからない。

ものすごく納得できるような事を言ってるような口ぶりだけど、どうもそうではないような気もする。

でも、それ以上考えるのもしんどくなってきた私とナホは、そのままケントに従う他なかった。

テツヤくんも、あまりに意味不明なケントの言い分に、意見することもできないまま、三人は、だまって救命胴衣を取り付けた。


なんか・・・・


なんていうか・・・・


全然楽しくないんですけど~!


私はテツヤくんとナホに申し訳なくて、ボートに乗るまで無言だった。


「出発進行!」

四人の中でケントだけがハイテンションのまま、ボートは砂浜から海へ出ていった。

無言の私たちを乗せて。