砂の上を歩くのって、こんなに足が重たいものだったっけ。

なんとなく、やっぱりなんとなく気分が乗らない。

なんだか嫌な予感っていうか・・・。

そんなこと考えたら、本当に的中しそうだからやめておこう。

ここは、テツヤくんもナホもいることだし、行くとなったら楽しまなきゃ損だもんね。

少しだけ気を取り直して、三人の後ろから着いていった。


岩場の手前に、ボートはあった。

「これ、叔父さんのボート。救命胴衣も貸してもらってるから、まずは皆さんこれ付けて。」

ケントはそう言いながら救命胴衣を手際よく配っていった。

「万が一のこと考えて、水着着替えた方がいいんじゃない?」

そう切り出したのはナホだった。

そうだよねー。

テツヤくんに見せるために、はりきってぶりぶりの水着持ってきてるって言ってたし。

ケントはきょとんとした顔でナホに言った。

「万が一のために、水着は持参。とりあえずはそのまんまの格好に救命胴衣付けてくれればいいよ。」

ナホは口をあんぐりと開けた。

「その意味がわからないんですけど。」

はぁ。

ナホもそりゃあきれるわ。

ケントの思いつきに振り回されるって、まさにこういう状態。

「ナホの言う通りよ。だって、もしボートが転覆したりしたらどうすんのよ。洋服ぬれちゃったら帰れないじゃない。」

私もナホに参戦した。