ようやく海にたどり着いたときには、私一人妙につかれきっていた。

ケントに振り回されたこともあったけど、どうも、この二人と一緒にいると気を遣うっていうか。

ナホは親友なんだけど、こんなナホ見たことないよ。

やっぱ、友達より彼氏なのか??

私は絶対そんなことあり得ないんだけどさ。

なんだか変な感じ。

私がナホの彼氏に嫉妬してる。


白い砂浜の上を歩きながら、おそらくいるであろうケントの姿を捜した。

まだ着いてないなんてことないよね?

いや、ケントならあり得るからな。

先が読めない人間だから。

額から落ちる汗をぬぐいながら、ケントのアホ面を血眼で捜さなきゃなんないなんて。

でも、相変わらずいちゃついてる二人と一緒にいるよりは、ケントがここにいてくれる方がましかもしれないな。


「カナ~!」

ざっくざっくと砂を踏みしめる音が近づいてくる。

振り返ると、ケントが今にも転びそうな足取りで走ってきていた。

かっこわる。

砂浜くらい、もっとかっこよく走れっての。

「ナホちゃん、えっと、彼氏さん?」

ケントは、頭をかきながら、テツヤくんの方を見た。

テツヤくんはニコッと笑ってうなずいた。

「いや、今日はほんとごめんなさい。俺の見当はずれで迷惑かけちゃいました。」

ケントは二人にぺこりと頭を下げた。

ふぅん。

素直に二人に謝ってるケントの姿は、今までになく好感がもてた。