私は杏子の血で汚れた手を一旦洗いに行こうと歩き出した。

何気なく杏子を見た。
あの遠足の時と同じ目だ。

まるでおいて行かないでと言うような目で私を見ている

『残念!私は手を洗いたいの。死ぬまでには戻るからなるべく生きててね』

そう言ってビル内のトイレに向かった。

この時間はもう誰も居ない。

階段さえ静かに使えば警備員に見つかる事もない。

念入りに手とナイフを洗い私はまた杏子の待つ屋上へ。


『お待たせ、杏子。』