☆真夏の質量
世界が変わる瞬間、というのを体験したことがあるだろうか。
俺はその時をこの星空の多々羅大橋の上で、場違いにもくす玉から出たおめでとう紙吹雪の中で、迎えることになるらしかった。
舞い散る吹雪を頭と肩に積もらせて、よく見覚えのあるコスプレをした彼女はうつむいていた。顔がよく見えない。
こんな時になんて言えばいいのかわからなかった。
本来ならここは自殺志願者が死を思い悩みためらっている切実な場面のはずだが、まいらのアイデアで強制的に赤や黄色のバカハッピー空間にされてしまったため、彼女がどんな気持ちでそこにいるのか混乱してしまったのだ。
立ち尽くし、彼女はだまって地面を見ていた。ヘリコフの白いライトが上空から迫ってくる。
「大丈夫ー?」
スピーカーからまいらの声が響いた。ありがとう、お前のアイデアのせいで無駄に大丈夫になった気がする。
もう気を遣わない気の遣い方くらいしか思いつかない。俺はどうでもいいことを質問することにした。彼女のコスプレを見てひとこと。
「観鈴・・・ですか?」
その声に彼女は、はっ、とばかりに顔を上げた。
目があった。
瞳孔が縮まるほどに驚いた瞳から、大粒の真珠がぼろっとこぼれた。
その瞬間、
ビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビ
圧倒的な質量の希望と絶望が、同じ重さで俺の身体に降ってきた。
世界が変わる瞬間、というのを体験したことがあるだろうか。
俺はその時をこの星空の多々羅大橋の上で、場違いにもくす玉から出たおめでとう紙吹雪の中で、迎えることになるらしかった。
舞い散る吹雪を頭と肩に積もらせて、よく見覚えのあるコスプレをした彼女はうつむいていた。顔がよく見えない。
こんな時になんて言えばいいのかわからなかった。
本来ならここは自殺志願者が死を思い悩みためらっている切実な場面のはずだが、まいらのアイデアで強制的に赤や黄色のバカハッピー空間にされてしまったため、彼女がどんな気持ちでそこにいるのか混乱してしまったのだ。
立ち尽くし、彼女はだまって地面を見ていた。ヘリコフの白いライトが上空から迫ってくる。
「大丈夫ー?」
スピーカーからまいらの声が響いた。ありがとう、お前のアイデアのせいで無駄に大丈夫になった気がする。
もう気を遣わない気の遣い方くらいしか思いつかない。俺はどうでもいいことを質問することにした。彼女のコスプレを見てひとこと。
「観鈴・・・ですか?」
その声に彼女は、はっ、とばかりに顔を上げた。
目があった。
瞳孔が縮まるほどに驚いた瞳から、大粒の真珠がぼろっとこぼれた。
その瞬間、
ビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビビ
圧倒的な質量の希望と絶望が、同じ重さで俺の身体に降ってきた。