勝彦との甘い生活に再び溺れていた私は、実家に帰る頻度が少なくなった。
「もう、ちゃんと顔を見せなさい」
と母は不満を漏らす。
しかし再び心の繋がった母娘は、毎日顔を合わさずとも大丈夫だという自信がある。
帰る頻度が少なくなったのにはちゃんと理由があって、私は家事をするようになったのだ。
掃除、洗濯、そして料理。
ご飯を作って勝彦の帰りを待つようになった。
勝彦が言っていたとおり、料理はあまり得意ではないらしいが……。
しばらくしたら仕事も始めたい。
先日母に話したらまた店を手伝わないかと言われたが、断った。
母のスナックの営業時間は7時から12時。
勝彦との時間を大切にしたかったのだ。
私の生活は勝彦中心に回っている。
だから、気付かないでいた。
私がかき集めた真実の中に、見落としがあると。