8月5日はね、俺が紀子に告白した日。

 告白して、振られた日なんだ。

 その時の紀子は見てすぐにわかるくらい辛そうな顔をしていて、できれば俺が支えたいと思った。

 でも、ばっさり振られたよ。

「かっちゃんと一緒になれば幸せだろうけど、私はかっちゃんの思ってるような女じゃない」

 なんて言われてさ。

 まさか、翌日に中絶の手術を控えてるなんて……知らなかった。

 色々話は聞いてきたけど、今思えばほんの一部に過ぎなかったんだな。

 自惚れてたよ。

 もっと頼ってくれてると思ってた。

 振られても「いい人」のポジションは失いたくなくて、たまにはご飯に連れて行ったりしてたんだ。

 それでも紀子はどんどん辛い顔をするようになって……。

 ある日、メールの返事が来なかったのが不安になって、店に行ったんだ。