電話に出たのは、若い女の人だった。

 おそらく、事務の人。

「あの、ガス漏れについてうかがいたいんですが」

「はい」

「ガスって、どういう時に漏れるんですか?」

「室外の場合、よっぽど配管が腐敗していた時や、何かの拍子に破損した時は漏洩の可能性があります。もし漏れたらメーターの方で遮断がかかりますし、事故につながることはほとんどございませんのでご安心ください」

 自信を持って回答をする女性。

 ガスが漏れた理由を探ろうとしていたのに、出てきた答えは「事故につながることはない」だった。

「室内の場合、器具から漏れたとしても、警報機が設置されていれば音でわかりますし、何よりも臭いですぐにわかります。元栓を締めていただければそれ以上漏れることはありません」

 警報機を探すと、天井の方に設置されていた。

 ということは、うちのガスは都市ガスで、空気より軽い。

 漏れたガスが天井の方に上っていって、私がガスを吸ってしまうより前に警報機が鳴る。

 臭いもする。

 その時、私はそれを何とかしようとは思わなかったのか。