勝彦の部屋に帰ると、彼はまだ帰っていなかった。

 テレビを見ながら、さっきの紙を開いてみる。

 なにやら難しい薬の名称が書かれているが、そこは飛ばして説明部分だけを見る。

 一つ目は、経口避妊薬……いわゆるピルだった。

 避妊でもしていたというのか。

 それとも別な理由だろうか。

 もう一つは、睡眠導入剤……いわゆる睡眠薬だ。

 私は眠れない体質だったらしい。

 今では毎日ぐっすり眠れているのに。

 医者に行ったおかげで不眠症も治ったのだろうか。

 それにしても、この薬の組み合わせ……。

「とことん怪しいじゃない、あたし」

 ピーンポーン

 勝彦が帰ってきた。

 自然に顔が緩む。

 私は薬の説明書を再びバッグに押し込め、勝彦を迎えに玄関へ。

「おかえり、かっちゃん」

「ただいま」

 愛しい彼の顔を見ると、薬のことなんて話してはいけないと思った。