みんなが何かを隠している。
大事な何かを、私は知らされていない。
奈津子なら何か教えてくれるだろうか。
翌々日、9月1日。
私は実家で母と奈津子の来訪を待っていた。
「かっちゃんとの生活はどう?」
昼食のラーメンをズルズルすする。
母は面倒臭がりのようだ。
「何て言えばいいのかな。まあ、快適だよ」
「よかったわ。付き合ってたなんて、ちょっと驚いたけど」
私の驚きはちょっとではなかったよ。
知らない人に、恋人だと言われたのだから。
母の作る袋ラーメンには、ネギがたっぷり入っていた。
少し辛いが、これが十和田家の味だろう。
勝彦との生活は、本当に順調だった。
愛してくれている彼に私も惹かれてるし。
予定をしていた午後1時を少し回ったところで、チャイムが鳴る。
奈津子と、二回目の初対面――。