翌日、勝彦に描いてもらった地図をもとに、歩いて実家へ向かった。
不安は大きかったが、近いだけあって迷うことはなかった。
地元なのに、どこもかしこも新鮮な風景だ。
家に着き、一応呼び鈴を鳴らす。
出てきたのは相変わらずぶっきらぼうな正樹だった。
「ああ、姉ちゃん。チャイムなんて鳴らさなくて良かったのに」
「まあ、一応最初はね」
室内に入り、正樹と一緒に自分の部屋へ。
携帯はベッド脇の充電器に差し込まれていた。
「ねえ、お母さんは? 寝てるの?」
「今店の買い物に行ってる」
「もう起きてるの? 仕事、夜だよね?」
「店は12時で閉めるから、1時には帰って来てる。いつも朝9時には起きてるよ」
へえ、そうなんだ。
意外に健康的。
「あんた、仕事じゃないの?」
「今日は代休なんだ」
携帯をカチカチ操作していると、正樹はそそくさと部屋を出ようとしていた。
無愛想な弟だ。
仲が悪かったのだろうか。