「それより、さ」

 急に話を仕切り直した勝彦。

「夜は、俺のベッドで一緒に寝るわけだけど……」

 もったいぶる勝彦。

 はっきり言ってよ。

「なに?」

「その、ほら。いい?」

「何が? ……あ」

 言わんとすることに気付いて、私はまた顔が赤くなるのを感じた。

 そりゃ、口ごもるのも無理ない。

「俺も一応、男だからね。紀子が嫌なら、ここで寝るから」

 ポンポンと座っているソファを叩く。

 家主は彼なのに、それは申し訳ない。

 そこで寝るべきは私。

 いやいや、彼女なわけだし、新・紀子も勝彦のことは好きみたいだし。

「断る理由なんて、ないんだけど」

「ほんとに?」

「うん。あたし、忘れてもかっちゃんのこと好きみたいだから」

 そう言うと、彼は嬉しそうに笑って、また軽いキスをしてきた。

 愛されてるんだなと感じる。

 こんな私の、一体どこが不幸だったというのだろう。