灰色の空の下に荒れ果てた地が
広がり､白い建物がひっそりと
建っている｡

この白い建物の中で生き残った
人々は暮らしている｡

建物の中は屋根がついた小さな
村のようで､避難の為に地下施設
へ行く時以外は外に出られない
ようになっている｡

外の空気は汚れていて､無防備で
外出することは危険である｡

無防備のまま､10分もいれば､
真っ先に目がやられ､そのうち､
体が痺れていく｡

その為､学校や役所なども建物
の中に作られている｡

空襲を知らせるサイレンが鳴る
度に地下の避難施設に人々は
逃げ込むのである｡



桐山有夢は両親と共にこの建物
で暮らしている｡

銀色系の金に染めた髪は肩に
少しかかる程度で茶色がかった
瞳に冷たさを感じさせた｡

小柄だが､意志の強さが彼女を
大人っぽく見せていた｡


退屈だと言わんばかりに有夢は
窓の外に広がる灰色の外を
眺めていた｡

まだ授業が終わる様子は無く､
時計を見ながら､有夢はため息
を洩らした｡