いつかこの時が来ると思っていた。

振り返ると開いたドアの向こう、お姉ちゃんが驚きの表情で突っ立つていた。

しかしタイミングが悪すぎる。

この状態はない……。


ドアを開けて裸の男の子が妹のベッドにいたらそら驚くわ!

あたしが焦って弁解をしようとした時だった。


「どーもー。おじゃましてます」


空気を読まずひなたがニコニコしながらお姉ちゃんに挨拶をかました。

こいつアホか!


「違うの!あれは犬なの!」


「犬?……あんた危ない趣味ね……」


明らかにお姉ちゃんは引いていた。
人間を犬だと言って納得する訳がない。


「本当に犬なの!ひなた!あんた犬になりなさいよ!?」

「んー?ワンワン!」

「違う!!」


ふざけているのか、ひなたは人間の姿で犬の鳴きマネをするだけで犬になろうとしなかった。

お姉ちゃんの視線が痛い。


「お姉ちゃんひなたなの!あれは犬のひなたなの!」

「なにプレイよ……あたしに強要しないで」

「違うの!ちょっとひなた!!」

「え?ワンワーン?」


こいつ殺す!


てかお前ら、あたしの話を聞け!?