ひとまず安心して胸を撫で下ろした。


もうひなたはどこにも行かない……。


それにしてもこのヒルメ様は何者なんだろう。

この老婆がズタボロの縫いぐるみを人間の男の子にしたんだと思うと神様としか思えない。

たたずまいも品があって神々しさすら感じる。


ひなたが老婆をヒルメ様と呼んでいたのであたしもそれに便乗して呼んだ。


「ヒルメ様は……やっぱり神様なんですか?」

「前にも言った。否定はせん」

「あの……本当にありがとうございます!」



改めて頭を下げるとヒルメ様は涼しい顔であたしをチラリと見て目を閉じた。



「礼を言う必要はない。お前と犬の思いはこの通り見届けた。後はお前達の記憶を白紙に戻して終いだ」


「……えっ?」




一瞬、耳を疑った。


記憶を白紙に?


それって……。





「結局、記憶消すんじゃん!!」