胸が切なくなって唇を離した。

ひなたの手を両手で握り、静かに息を吸った。


震える声で瞼を閉じたままのひなたに問いかける。




「夢から覚めて目の前にいるのは誰……?」




ゆっくりと開かれたひなたの暗い瞳が、目の前でみるみる澄んでいく。

まるで曇った視界が鮮やかになっていくようにはっきりと……。


その瞳は瞬きもせずあたしを映した。








「……ミリちゃんだ……」






呟くようにひなた口から懐かしい呼び名がこぼれた。

それと同時にあたしの涙もぽろぽろこぼれる。



元に戻ったんだ


なにもかも……。




「ミリちゃんっ!ミリちゃん!ミリちゃんだ!」


「うるせーよアホ犬!浸らせろ!?」




あたし達はお互い抱き合ってバカみたいに泣いた。



ごめんね。

ごめんねひなた。




プー

あたしを好きでいてくれてありがとう。